49 御垣守衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ
大中臣能宣朝臣
貴族・歌人。三十六歌仙の一人。正四位下・祭主・神祇大副。
現代語訳
宮中の御門を守る衛士(えじ)の燃やす篝火が、夜は燃えて昼は消えているように、私も夜は恋の炎に身を焦がし、昼は消えているように物思いにふけっているのです。
文法・語
「御垣守」-宮中を警護すること
「衛士」-諸国から毎年交代で召集される宮中警護の兵士
「の」-主格の格助詞
「の」-比喩を表す格助詞。「火が…するように」の意
「は」-、区別を表す係助詞。「夜は燃え」と「昼は消え」が対句になっている
「つつ」-反復を表す接続助詞
「思へ」-「思ふ」の已然形。「こそ」との係り結び。「物を思ふ」は恋の物思いをする意
※序詞