21 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな
歌人・僧侶。桓武天皇の曾孫。遍照(良岑宗貞)の子。三十六歌仙の一人。
現代語訳
「今すぐに行きますよ」とあなたがおっしゃったのを信じて9月の長い夜を待っていましたが、有明の月が出る頃を迎えてしまいましたよ。
文法・語
「む」-意志の助動詞。作者は男性であるが、女性の立場で詠んだ歌
「と」-引用の格助詞
「し」-過去の助動詞「き」の連体形
「ばかり」-限定の副助詞
「長月」-陰暦の九月。晩秋で夜が長い
「有明の月」-夜更けに昇ってきて、夜明けまで空に残っている月のこと。満月を過ぎた十六夜以降の月
「つる」-完了の助動詞の連体形
「かな」-詠嘆の終助詞