22 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ


文屋康秀
歌人。正六位上・縫殿助。六歌仙・中古三十六歌仙の一人。

現代語訳
山から秋風が吹くと、たちまち秋の草木がしおれはじめる。なるほど、だから山風のことを「嵐(荒らし)」と言うのだなあ。

文法・語
「からに」-複合の接続助詞で「~とすぐに」の意
「の」-連体修飾格の格助詞で、「(秋)の」の意
「の」-主格の格助詞で「(草木)が」の意
「しをるれば」-「枝折る」で草木が枯れてぐったりする様。「動詞の已然形+接続助詞“ば”」で順接の確定条件
「むべ」-呼応の副詞で「なるほど…」の意。「らむ」にかかる
「嵐」-「荒らし」との掛詞
「らむ」-原因推量で「(~ので、…)のだろう」の意