29 心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
歌人・官人。三十六歌仙の1人。六位。
現代語訳
当てずっぽうで折るなら折ってみようか。真っ白な初霜が一面に降りて、霜なのか白菊なのか見分けがつかなくなっているのだから。
文法・語
「心あて」-当てずっぽう・当て推量
「に」-手段・方法の格助詞。「体言+格助詞“に”」で連用修飾格
「折らば」-「動詞の未然形+接続助詞“ば”」で順接の仮定条件
「や」-疑問の係助詞
「む」-意志の助動詞の連体形で「や」の結び。二句切れ
「の」-主格の格助詞
「まどはせ」-動詞「まどはす」の命令形(已然形とする説もある
「る」-存続の助動詞「り」の連体形
※倒置法