28 山里は冬ぞ寂しさまさりける 人目も草もかれぬと思へば
源宗于(むねゆき)朝臣
官人・歌人。光孝天皇の皇子是忠親王の子。正四位下・右京大夫。三十六歌仙の一人。
現代語訳
山里は、ことさら冬に寂しさがつのるものだなあ。人の訪れもなくなり、草木も枯れてしまうからなあ。
文法・語
「は」−区別を表す係助詞。都とは違うことを示す
「冬」−陰暦の10、11、12月
「ぞ」−強意の係助詞。山里は、どんな季節でも都よりさびしいが、中でも冬は格別にさびしさがまさることを示す
「ける」−詠嘆の助動詞の連体形で「ぞ」の結び
「人目」−人の気配や人の往来 「も」−並列の係助詞
「かれ」−「人目」を受けて「離れ」となり、「草」を受けて「枯れ」となる掛詞。「離れ」は「人が来なくなる」の意
「ぬ」−完了の助動詞の終止形
「思へば」−「動詞の已然形+“ば”」で順接の確定条件。「思うので」の意
※倒置法