10 これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関
蝉丸
音楽家。
Musician
現代語訳
これがあの有名な、京から出て行く人も帰る人も、知っている人も知らない人も、出逢いと別れをくり返す逢坂の関なのだなあ。
This is the famous Osaka Barrier, the person leaving and coming back from kyoto, stranger and acquaintance repeat an encounter and parting.
文法・語
「これやこの」-「これがあの噂に聞くあの」という意。「や」は詠嘆の間投助詞。この句は「逢坂の関」に掛かる
「行くも帰るも」-「行く」「帰る」とも連体形なので、「行く人」「帰る人」の意味
「ては」-動作の反復
「知るも知らぬも」-連体形で「知人も見知らぬ人も」という意味
逢坂の関 MAP
山城国(京都府)と近江国(滋賀県)の国境となっていた関所。相坂関や合坂関、会坂関などとも書く。東海道と東山道(後の中山道)が逢坂関を越えるため、交通の要となる重要な関であった。この関の東側が東国だとされていた。「逢坂」は「逢ふ」の掛詞。