19 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
女性歌人。三十六歌仙、女房三十六歌仙。
現代語訳
難波潟(現在の大阪湾)に生える葦の短い節と節の間のような短い間でさえも、あなたに会わないで、どうやってこの世を過していけとおっしゃるのでしょうか。
文法・語
「芦」-水辺に生えるイネ科の植物
「ふしの間も」-掛詞で芦の「節(ふし)」の短さと、逢う時のほんのわずかな時間の掛詞
「逢ふ」-男女関係を結ぶこと
「で」-打消の接続助詞で活用語の未然形に接続
「世」-人生や男女の仲などさまざまな意味を持つ。「世」は「節(よ)」と音が重なり「節(ふし)」とともに芦の縁語
「てよ」-完了の助動詞「つ」の命令形
「と」-引用の格助詞
「や」-疑問の係助詞。下に「言う」が省略されている
難波潟
大阪湾の入り江の部分のこと。昔は干潟が広がり、芦がたくさん生えていて、名所のひとつになっていた。「潟」は潮が引いた時に干潟になる遠浅の海のこと