13 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積もりて淵となりぬる
第57代天皇。
現代語訳
筑波山の峯から流れ落ちてくる男女川(みなのがわ)も、(最初は小さなせせらぎだが)やがては深い淵をつくるように、私の恋も次第につのり今では淵のように深くなってしまった。
文法・語
「男女川(みなのがは)」-「水無乃川」ともいう。男体山、女体山の峰から流れ出る川なのでこう呼ばれる
「ぞ」-強意の係助詞。「ぬる」との係り結び
「ぬる」-完了の助動詞「ぬ」の連体形。後撰集では「なりける」となっているが、「ぬる」の方が思い詰めた感覚が強く表れているようです
※後に后となる綏子内親王(光孝天皇の皇女)に対する恋心を表している