7 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも
安倍仲麿呂
奈良時代の遣唐留学生。日本への帰国を果たせずに唐で客死した。
Kento-shi (Japanese envoy to Tang Dynasty China) rugakusho (overseas students)in Nara period. He died in Tang without being able to achieve return home to Japan.
現代語訳
長安の天空をふり仰いで眺めると、月がとても美しいな。あの月は故郷の奈良の春日にある三笠山に出ていた月と同じ月なのだなあ。
When I look up the roof of heaven in Changan, I feel that a moon is so beautiful. It is the same as a moon appears on the Mikasa mountain in my homeland Kasuga of Nara.
文法・語
「原」-大きく広がるさま
「ふりさけ見れば」-「動詞の已然形+接続助詞“ば”」で、順接の確定条件。この場合は、そのうちの偶然条件「~と」で、「遠くを眺めると」の意 「なる」-断定の助動詞「なり」の連体形で、この場合は存在を表し「~にある」の意
「し」-過去の助動詞「き」の連体形。この歌は帰国直前に詠まれたもので、日本での実体験を回想している
「かも」-詠嘆の終助詞
三笠山 MAP
奈良県奈良市、春日大社の東側にある山。遣唐使は出立に先立ち春日山(花山もしくは三笠山の通称)の付近で天神地祇を祀って航海の安全を願ったことが知られている。
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