48 風をいたみ岩打つ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな


源重之
歌人。清和天皇皇子貞元親王の子である従五位下源兼信の子。従五位下・筑前権守。三十六歌仙の一人。

現代語訳
風が激しくて、岩に打ち当たる波が(岩はびくともしないのに)ひとり砕け散るように、(相手は平気なのに)私だけが心も砕けんばかりにあなたを思い悩んでいるこの頃です。

文法・語
「風をいたみ」-「AをBみ」で原因・理由を表す。「AがBなので」の意。「いたし」は「はなはだしい」という意味の形容詞
「の」-比喩を表す格助詞。「岩をうつ波が…するように」の意。女性の心を岩にたとえている
「のみ」-限定の副助詞
「くだけ」-下二段活用の自動詞「くだく」の連用形
※序詞