100 百敷や古き軒端のしのぶにも なほ余りある昔なりけり


第84代天皇(1210-1221)。後鳥羽天皇の第三皇子。母は高倉範季の娘・重子(修明門院)。承久の乱の後、佐渡へ配流。貴族から武士の時代へ。

現代語訳
宮中の古い軒端の忍ぶ草を見るにつけても、偲んでも偲びつくせないものは、古きよき時代のことだよ。

文法・語
「ももしき」―宮中 「や」―詠嘆の間投助詞
「軒端」―軒のはし
「しのぶ」―「偲ぶ」と「忍ぶ草」の掛詞。「偲ぶ」は懐かしく思う。「忍ぶ草」はシダ類の植物で、荒廃を象徴する草
「なほ」―やはり
「あまりある」―いくら偲んでも偲びきれないの意
「昔は」―天皇に権威があった過去の時代(醍醐天皇や村上天皇の在位していた延喜(えんぎ)・天暦(てんりゃく)の時代)
「けり」―初めて気付いたことを表す詠嘆の助動詞