99 人も愛し人も恨めしあじきなく 世を思ふゆゑにもの思ふ身は


第82代天皇(1183-1198)。高倉天皇の第四皇子、母は坊門信隆の娘・殖子(七条院)。後白河天皇の孫で、安徳天皇の異母弟。第1皇子の為仁親王が土御門天皇に、続いて第3皇子の守成親王を順徳天皇にし院政を行う。1221年、承久の乱を起こす。大敗し鎌倉幕府によって後鳥羽上皇が隠岐島に流される。

現代語訳
人をいとおしく思うこともあれば、人を恨めしく思うこともある。思うとおりにならずつまらないと、この世の中を思うから、いろいろと思い悩むのだ。

文法・語
「惜し」―いとおしい
「あぢきなく」―ク活用の形容詞「あぢきなし」の連用形で「思う」にかかる。思うようにならない気持ちを表す
「世」―この世
「に」―原因・理由を表す格助詞
「物思う」―思い煩うこと
「身」―自分自身
「は」―強意の係助詞
※倒置法