80 ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ


歌人。女房三十六歌仙・中古六歌仙。父は源顕仲。

現代語訳
あなたの心は末永くまで決して変わらないかどうかわからず、一夜を明かしましたが、わたしの黒髪が乱れているようにわたしの心も乱れて、今朝は物思いに沈んでおります。

文法・語
「長からむ」-「黒髪」の縁語。「長からむ心」は永久不変の愛情
「も」-係助詞
「知らず」-信じがたいの意
「ず」-打消の助動詞の終止形で、二句切れ
「の」-比喩を表す格助詞
「乱れて」-「黒髪」の縁語で「黒髪の」を受けて黒髪が乱れることと、「今朝はものをこそ思へ」にも続いて「心が乱れて」ということを表す
「今朝」-男女が結ばれた翌朝の意
「は」-区別を表す係助詞
「こそ」-強意の係助詞
「思へ」-ハ行四段の動詞「思ふ」の已然形で「こそ」の結び