69 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり


僧侶・歌人。中古三十六歌仙。

現代語訳
嵐が吹き散らした三室の山の紅葉の葉が、龍田川の水面に散り落ちて、まるで錦のように美しいではないか。

文法・語
「嵐」-山から吹き下ろす強い風のこと 「み室の山」-本来、神のいらっしゃる山という意味の普通名詞であり、同名の山が複数あるが、ここでは、竜田川の付近にある神南備山(奈良県生駒郡斑鳩町)のこと
「竜田の川」-奈良県の川で紅葉の名所
「錦」-彩色の鮮やかな厚地の絹織物。紅葉を錦に見立てている
「けり」-今初めて気づいたことを表す詠嘆の助動詞


神南備山 MAP
三室山(みむろやま)の別名。奈良県生駒郡斑鳩町神南4丁目にある標高82メートルの小さな山である。