77 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ


第75代天皇(1123-1142)。退位後は新院 、讃岐院とも呼ばれた。

現代語訳
川の流れが速いので、岩にせき止められる急流が、一度は別れても再び合流するように、愛しいあの人と今は障害があって別れていても、いつかはきっと添い遂げようと思っています。

文法・語
「瀬をはやみ」-川底が浅く流れの速いところ。「AをBみ」で原因・理由を表す。「AがBなので」の意。Aは名詞、Bは形容詞の語幹
「せか」-カ行四段の動詞「せく」の未然形
「滝川」-急流・激流。現代語の滝に相当する古語は、垂水(たるみ)
「の」-比喩を表す格助詞
「われ」-水の流れが岩に当たって分かれることと愛し合う二人が別れることを表す
「ても」-接続助詞+強意の係助詞で、逆接の仮定条件を表す
「末」-将来・行く末
「あは」-水が合流することと別れた二人が再び結ばれることを表す
「ぞ」-強意の係助詞
「思ふ」-ハ行四段の動詞「思ふ」の連体形で、「ぞ」の結び