66 もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし


天台宗の僧・歌人。父は参議源基平。

現代語訳
山桜よ、私がお前を愛しく思うように、おまえ一緒に愛しいと思っておくれ。この山奥ではおまえの他には私を知る人は誰もいないのだから。

文法・語
「もろともに」-一緒にの意を表す副詞
「あはれ」-感動を表す形容動詞の語幹。この場合は「愛しい」「いつくしい」の意
「思へ」-ハ行四段の動詞「思ふ」の命令形
※『金葉集』の詞書によると、行尊が大峰山(現在の奈良県吉野郡)にて孤独な修行中、思いがけず山桜を見て詠んだ歌とある