93 世の中は常にもがもな渚漕ぐ 海人の小舟の綱手かなしも


鎌倉幕府第3代征夷大将軍。源頼朝の第6子で12歳で征夷大将軍に就く。武士として初めて右大臣に任ぜられるが、その翌年に鶴岡八幡宮で頼家の子公暁に暗殺された。これにより源氏将軍は断絶した。

現代語訳
この世が、こんな風にいつまでも変わらなければよいのになぁ。波打ち際を漕ぐ漁師の小舟が綱を引いていく、ごく当たり前の情景が、私の胸を締め付けます。

文法・語
「常に」-ナリ活用の形容動詞「常なり」の連用形で、不変の意
「もがも」-願望の終助詞
「な」-詠嘆の終助詞。二句切れ
「渚」-波打ち際
「あま」-漁師
「綱手」-舟を陸から海に引くための引き綱
「かなし」-痛切で胸がつまるほどの感情
「も」-詠嘆の終助詞