78 淡路島通ふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚めぬ須磨の関守


歌人・官人。源俊輔の子。従五位下・皇后宮少進。

現代語訳
淡路島を行き来する千鳥のもの哀しい鳴き声を聴いて、須磨の関守は幾夜目を覚ましたことでしょう。

文法・語
「かよふ」-「行く」、「帰る」、「往来する」の意
「千鳥」-水辺に住む小型の鳥。冬の風物として歌に詠まれる
「の」-主格の格助詞
「に」-原因・理由を表す格助詞
「いく夜寝覚めぬ」-疑問詞「いく」+名詞「夜」という構成の名詞であるため、「ぬ」は本来、連体形の「ぬる」であるべきところ、終止形となって名詞「須磨」に続いている
「関守」-関所の番人
※四句と五句は倒置。体言止め

淡路島 MAP
歌枕。現在の兵庫県にある島。大阪湾及び明石海峡を隔てた須磨の対岸

須磨 MAP
歌枕。摂津国西部の海岸地域。現在は、兵庫県神戸市須磨区